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ARGフォーラム 感想など


第1回ARGフォーラム
「この先にある本のかたち-我々が描く本の未来のビジョンとスキーム」
http://sites.google.com/site/argforumsite/home

行ってきましたのでレポートをば。

他にもレポートは既に多く上がっています。
みんな仕事早いねえ。

しかし今回のレポートは我ながら長い。9000字も書いてるw

眠気を誘うと思われますので、
寝る前に読むことをお勧めします。

Twitterでもいろいろ面白いコメントが流れていたようですが、リアルタイムではイーモバイルがうまくつながらなかったため確認できておりません。一般の率直な感想はそっちを見た方がよさそう。

以下●のパラグラフがどろぶね個人のコメントです。なにやらえらく哲学的な部分がございます。

☆基調報告:長尾真(NDL館長)

本が解体されて、目次・パラグラフレベルで扱うようになるという話と、デジタル化時代の出版者と図書館のモデル図について。
言ってることはいつもと同じなので、モデル等の仔細は省略。

インターネットの登場により、情報流通は一部の著者から大多数の読者という一方通行から誰でも発信できる双方向へと変化

電子図書館の時代
・デジタル化の進展
・デジタルしかない出版物
・インターネット上の情報の収集と利用→信頼性の高い情報の収集が求められる

デジタル化の利点
「デジタル化すれば、書誌情報の大部分は自動付与できる。キーワード自動抽出、自動分類付与、関連図書へのリンク付けもすべて自動でできるようになる」

●んなばかな、と素人としては(いつものことだが)思う。テキストのうち、何がタイトルで何が目次で何が著者で、っていう意味論の世界をどうやって自動で処理するんだろう?いつもそこがわからない。自然言語処理の意味論、誰でもいいから教えてほしい。

●あ、目次には「目次」って書いてある、とか、1.、2.・・・ってあったら章立て、とかそういうのはなしね。それはそういう「形式」を処理しているだけだから。そういう形式の中に落とし込んだのが目録やメタデータだと思うので、メタデータが自動付与できるというのであれば、コンテンツのテキストから(そしてそれだけから)、例えば目次がどのように提示されていても(「目次」って書いてあってもなくても、あるいは「本書の構成」とか書いてあってもなくても、つまり目次がテキストの中でどんな「形式」で示されていても)そこが目次であると(そしてそれ以外の箇所は目次ではないと)判断できなければいけないと思うのだが、そんなことができるまでに自然言語処理というのが進んでいるなら是非教えてほしい。

検索の単位が異なる
 図書の単位だったものが章、節、パラグラフといった単位になる。目次に従って階層構造を検索することで、読みたいところだけを読むことができる。

●検索の単位が図書のレベルからより細かいものになってきている(というかなるべきである)というのはそうだと思うが、FRBRでいう「著作」のレベルを把握したうえでないと危険ではないかと個人的には思う。
●というのはコンテンツ、テキストというのは単なるデータではなく、テキストにはコンテキストがあるということ。コンテキストを無視して引用や編集を行うことは、マスコミではよく行われており、インタビュー記事などで、発言者の意図と違う使われ方をして問題となることがよくあると聞く。政治家や企業トップの発言の一部だけを使って批判するようなやり方もまたしかり。
●そのような(引用者が引用したいところ「だけ」を読んで使うという)使われ方が増えると、例えば反語的な表現は使えなくなるだろうし、自分と異なる意見をそれこそ引用できなくなってしまう。そこだけ読まれて使われてしまったら困ることになるから。自分の主張以外のものを論述の中に含むことが、リスクが大きすぎてできなくなってしまう。これは説得力のある論証をする上での大きな制約となるのではないか。
●したがって「読みたいところだけを読むことができるようなる」というのは、便利ではあるし必要かも知れないが「読みたいところだけを読む」という読みの姿勢には賛同できない。
●仕組みの問題というより、読む側の問題か。
●つまり、これはテキストの全文検索や目次を階層化することができなくてよいという意味ではないし、テキストの一部を取り出すことができなくてよいという意味ではない。文脈を無視できるデータだったり、事実報告であれば「読みたいところだけ」で十分な場合もあるし、文脈がわかっている資料について、ピンポイントで引用したい箇所を探すことができるというのは有用だと思うので誤解なく。

過去の成果の上に新しい成果が生まれる=過去の必要なところを切り取って編集し、新しい観点から再構成すること

●「読みたいところだけを読む」という姿勢は「新しい観点からの再構成」という行為を無意味にする。「読みたいところだけを読む」ということは構成を無視して部分だけを読むことが可能ということであり「再構成」された「構成」が読まれることにはならないからだ。まあ、前段と言いたいことは同じ。
●「読みたいところだけを」読めるようになることは必要かもしれないが「読みたいところだけ」しか読まないという姿勢は、恣意的な読みや引用を助長するようにも感じられ、必ずしもそれが創造性につながるとは思えない。新しいものを創造したいのではなく、既に結論があってそれに向けて材料を引っ張ってきたいだけに聞こえる。
●もちろん必ず全部通して読まなければいけないということではないので念のため。最初に書いたようにテキストにはコンテキストがあり、それを無視しては意味は取り出せないのだから、読みたいところだけを読むというのは危険であろうということ。
●テキストや意味というものに関する言語観が多分違うのだな。

「情報検索」から「事実・知識検索」へ
情報検索=解答が含まれているドキュメントを取り出す
知識検索=解答そのものをドキュメントから取り出す。

●これも違うと思う。解答そのものをドキュメントから取り出すのは人の世界の出来事。ドキュメントから取り出したものはそれだけでは解答ではなく、それにどのような意味を人が与えるかが解答を構成する。
●可能なのは、解答が含まれているドキュメントを、よりピンポイントで取り出せるということだ。

電子図書館が自由に利用できるようになると出版事業が成り立たなくなる。なので、ビジネスモデルの提案をしている。

●このビジネスモデルは図書館がいなくても成り立つ。つまりコンテンツと作者(著者)と販売者(出版者)と利用者、それに権利と課金処理のスキームがあれば、ビジネスは成立する。ということは、図書館がコンテンツの保存ということをキーにモデルに組み込まれるためには、図書館側が相当積極的にかかわらなければ(あるいは法的に組み込まれなければ)いけないのではないか。「提案」や「協力」ではすまないだろうというのは、以前に書いた通り。しかし図書館が出版のビジネスモデルに積極的にかかわっていくということは、図書館が無料で公共に奉仕するのが基本であることから、それはそれで難しいように思われる。図書館側もNDLだけでなく(サービスのインターフェースとしての)公共図ということも考えると全然一枚岩ではないし、統一した意思決定ができるわけでもないし。
●とはいえ、図書館においてデジタル化やデジタルコンテンツの提供サービスを充実させていくことはデジタル化が進む環境下では避けて通れないことから、図書館が取り組まないわけにはいかないと思う。

●これに関しては考えることがいろいろある。とりあえず箇条書きメモ
 ・国としてのデジタルコンテンツ戦略(の問題として考えるべきではないか)。
 ・デジタルの世界における図書館の役割(を具体的に示して理解を得ていかないと、無料貸本屋さん批判と同じことがデジタルでも起こってしまう、あるいは、デジタルの世界で無料貸本屋を再現させないために図書館におけるデジタルコンテンツの利用が非常に制限された不便なものになる、のではないか。)
 ・図書館と出版ビジネスが両立するための前提条件(って何だろう。それは紙だから成り立っていたのであって、デジタルの世界では成り立たないのでは、という根本的な疑問)
 ・デジタルになることの利点とそれを生かせる利用の態様と権利保護との相克(どうやって折り合いをつけるのか)


☆金正勲(慶應義塾大学)

話は3点
1.電子図書館といっても、様々な形態がある。分類するための基準軸とその組み合わせについて
 公共-民間
 営利-非営利
 中央集権型-分散型
 開放-閉鎖

例えばGoogle Book Searchは民間-営利-中央集権-開放といった感じ。

2.Google Book Searchがもたらしたもの
 GBSが提起したのは、本質的にはopt-outを制度的に容認するかどうか、という問題。
 GBSはopt-outを採用した。

 要事前許諾 = opt-in → 利用者の負担大
 事前許諾不要 = opt-out → 権利者の負担大

 電子図書館の実現にあたって、どうするかという点では、
 opt-in、outにかかる費用便益分析が必要。
 一般に
 opt-in:権利処理費用=(利用する側の権利情報に関する)検索+(権利者の意向の)確認+(公開に向けての)交渉
 opt-out:権利処理費用=(権利者側の自分の著作に関する)監視+(利用者に対する)通知+交渉
 という費用がかかる。

→費用の負担主体が異なる。
 opt-in:コンテンツの利用者
 opt-out:権利者

 opt-in、outの議論をする際にはこの費用と便益の比較分析が必要。やり方としては個別に許諾、フェアユース、(権利の)集中管理、電子図書館を特例化、法定許諾制度・補償金制度といったものがある。

●費用負担が権利者側にあるというのは、オープンアクセスにおける著者負担モデルと似ていると思ったが大事なところで全然違うことに後から気がついた。著者負担モデルが、単に費用負担を著者側に移しただけであって、基本的に利用に先だって(事前に)支払が行われていなければ(オープンには)利用できないというのに対し、opt-outは補償金制度を設けたとしても、そうした対価の支払いは事後のことであり、費用負担以前に利用が開始できるという点で大きく異なる。そういう意味では金先生の言う通り、opt-outを容認するかどうかというのはコンテンツの利用という面からは非常に大きなポイントであろう。

3.韓国における取組
 96年から電子図書館に取り組む
 2000年に著作権法を改正。図書館内・図書館間の伝送、複製について図書館の免責を無制限に容認
 2003年再度著作権法改正。2000年改正では行き過ぎということでバランスをとるものに
 →図書館内と図書館間を区別。図書館間の複製には免責となるための条件を新設=発行後5年経過していることと補償金の支払い。図書館内においては、デジタル化はできるが、閲覧数を所蔵部数(あるいは許諾を得た数)に制限、アナログに出力する際に補償金を支払う(非販売資料は除く)、複製防止、暗号化、課金管理等の仕組みを設ける。

 補償金制度:電子図書館の推進と権利保護を目的。閲覧、複製は無料。出力時に5won/pageまたは20won/ファイル(1冊または1記事)。伝送権管理センターにて管理

 (電子図書館の)政策目的=デジタル化資料の利用と保有の推進、権利保護のバランス。
→提言:公共図書館の場合には、opt-outを採用し、補償金制度の導入をすべき。


●全体として整理されたわかりやすい議論であった。ただ話が少し早かった。時間の関係だと思うが。

☆津田大介(ジャーナリスト)

40代以上のライターはどうするか←仕事が減ってくる
作家になる/専門分野で第一人者となる/編集プロダクションをつくる

→書き手の収入と出版者の利益をどうするかが問題

音楽業界との比較
コスト構造の違い:CDの場合物理的コストは60円ぐらい。印刷された本は紙や印刷代が30~60%を占める。
本の場合にパッケージとコンテンツが一体化しているということの意味。複製もしにくい。

Twitterの経験から、リアルタイムをテキスト化することには価値がある。情報の仲介業としての役割があるのではないか。専門家の知識をコミュニティ化、SNS化していく

ipod=ライフスタイルの提案がうけた。本もライフスタイルを変えるような提案ができれば。

●正直だらだらだらっと話す感じで何処がポイントなのか非常につかみづらかった。ので記載が極小。

☆橋本大也(IT起業家、書評ブロガー)
書評ブロガ―として読み手であり書き手。
年間500冊ほど買ったりもらったり。その内2割ぐらいが献本。300冊読み200冊ぐらいをBlogに書く。フィードバックをもらう。

●自分が年間何冊買っているか気になった。まあ、週10冊も買ったりはしないので500には遠く及ばないが。

電子図書館ということだが、最大の電子図書館はインターネット。民間、市場ではデジタル化はどんどん進む。そうしたグローバルな環境の変化に対応して、公共図、出版者、著者の役割の再定義が求められている。

●この「役割の再定義」というのをもっと考えんといかんなあと思った。

提言
・教会的な物理的空間としての図書館
 情報による救済と癒しの場であってほしい。

・印税が9割になる出版モデル
 現状:数千部以下×1500円ぐらい×8~10%→1冊書いても100万以下。
 これでは食べていけない。年10冊以上書く人もいるが中身は薄い。
 デジタルで直販すれば、この構造が変わるのではないか。
 著作で生活できる人が増えれば、コンテンツが充実する。

・有益な書評が見つかる仕組みの構築
 はずれはひきたくない
 新聞書評は良いがアカデミズムの中の諸々があって一般にとっては枝葉末節な批判であることも。
 Amazonはひどい。信者やアンチが不当に評価を上げたり下げたりしている。
 本の面白さは、動機付け、未知のことがある、難易度、趣味が自分に適合していることなどによる。
 図書館は公共性を生かして書評を集約してほしい。

●はずれは引きたくないというのは同感だが、何が有益な書評かというのは難しい問題。例えば「情報考学」は書評の内容もさることながら、どろぶねが普段見ない本が紹介されることが多いので、そういう点でも有益。(でもそこから買った事は多分ないw)結局、実物見ないと買わないというアナログ世代。(ちなみに2009年に入ってからAmazonで買ったのは25冊だけでした。リアル書店ではもっと買ってる。)

・著者に、より多くのフィードバックがある世界
 紙だとなかなか得られない。ネットは感想が可視化されやすい。

・永久アーカイブとしてのNDL
 個人の記憶と記録としての電子アーカイブ、個人の人生の記録を永久保存する仕組みができるとよい。日本語のコンテンツをすべてアーカイブするなど。

●NDLに期待してはいけません。

●さてこの後が討論、ということなのだがいまいち盛り上がりきらなかった感がある。もう少し長く時間がほしかったのと、論点、出てきたことを整理してまとめていくことが必要だったなと。

岡本真(ARG・主催者)
このフォーラムの趣旨:googleの問題について。出版業界では現状への対応の話ばっかり。出版の未来を考えないといけない。出版業界でのこういうイベントで出てくるのは50代の人が多いが、ぶっちゃけ50代にとってデジタルは関係ない。50代がいるうちは出版者はなくならないから。でも30代やそれ以下にとってはどうか。長尾館長以外は若手で。産業構造、政策課題、情報技術がわかる現役の書き手を集めた。
まずは長尾館長から他の方のプレゼンについて

長尾:opt-in、outについてはもっと議論する必要がある。日本で補償金制度を導入できるような予算が確保できるか、権利者や利用者の間でコンセンサスが得られるか、JASRACに類似したようなものが作れるのか。音楽の世界は図書館に相当するものがない世界なので、図書館をいれたモデル化ができるか。
津田さんの話について、どういう流通モデルにするか。著者と出版者が利益を得られるようにしないといけない。紙の消費や印刷コストについては、環境問題やエネルギー問題としても考える必要があり、その点でもデジタル化は必要。
永久アーカイブとしてのNDLについて。数年前にすべてのWeb情報を収集することを目指したが、違法なコンテンツの問題などから頓挫した。その結果国に関係したWebを集めるということになったが、本当は網羅的にやりたいし、やる必要がある。

●JASRACモデルっていいのか?opt-outと補償金制度って一見良いようにも思えるのだが、JASRACを考えると手放しで賛成できないなあ。あ、これは長尾モデルでも同じか。権利・課金処理をするところがものすごい利権団体になりそうで。下手したら引用するにも金が要るとかいう世界になりかねないというのは考えすぎだろうか。

金:opt-in、outの議論が必要というのは同感だが、議論だけではどうか。既に隣の国では9年前から取り組んでいる。日本では今からスタート。このタイムラグの問題は大きい。
補償金は利用者が出すもので、予算的な問題はあまりないと考える。
コンセンサスというのは難しい問題だが、議論だけではなく政策的な判断が必要となってくる。日本ではすべての領域においてコンセンサスがないと物事が進まないが、それはすぐには変わらないので、政策的な働きかけをしていくことが必要ではないか。

●答えにくい時、もっと議論する必要がある、とまとめるのは常套手段。議論だけじゃだめで政策的判断が必要というのには激しく同意。その意味で、せっかく日経とか興味を示しているんだから、本気ならもっとうまく使わないと。あちこちで同じ話をするだけでは多分(良い方向には)進まない。

津田:日本においては権利が邪魔してきている。GBSについて個人的には賛同。流通の環境が変わってくる中で現行の制度では追いつかないモデルがいろいろ出てくるだろう。その時に権利者としては、権利を捨てる必要はないが、一旦保留するという態度も必要ではないか。そのうえでビジネスモデルとして乗れるものがあれば乗っていく。日本の出版業界からGBSのような新しいモデルの提案がないのが残念。Googleに全部持っていかれてしまう。政策的には対応力を持ってほしい。権利が流通の邪魔をしない、製作コストを下げる、という2点が政策的な課題だと思う。

●権利が「邪魔」というのは、著者がいうから許されるのであって他の人がいったら叩かれるのかもね。

橋本:GBSは出た時はすごいと思ったが、実際にはあんまり使っていない。
書籍はランダムアクセスには向いていないのではないか。他方でWebはランダムアクセスに向いており、実はGBSのようなものが進んでも文化的にはあまり問題ないのではないかと思うがどうか。

●これは実は最初の長尾館長の話(書物を解体するという)に関する重要な異議だと思うのだが、だれも触れなかった。残念。

金:デジタルの流通が進むことによって、1つの図書館が50、100の図書館の機能を果たせる。どこに住んでいても情報へのアクセスが可能になる。図書館がそのようなサービスを提供するというのは、図書館の持つ重要な、本来の役割だと思うので、その点でデジタル化には非常に意義がある。

岡本:こういうフォーラムを開くと、同じ議論になってしまうことがある。そうならないよう今後の論点となるものを決めたい。opt-in、outについて、NDLの近代デジタルライブラリーが15~16万冊のデジタル化された画像を提供している。これは著作権者を調査し、見つからないものは文化庁長官の裁定を受けて公開している。これが1冊あたり1255円、著者1人あたり2300円かかっているということである。こうしたデータを見ながら議論していく必要がある。
印税9割という話については、もし本当に9割になったら、明日からそれに全力投球する。今はそれよりもこうしたフォーラムを開く方がメリットがありそうだが、それが変わる。どうしたら90%になるか。

●結局論点の構築には失敗した感が。正直フロアからの質問とかいらんので、きちんと今日の成果(というものがあったかどうかわからないが)をまとめたほうがよかったのではと思う。次につなげるという点で。

橋本:基本的にはファンを作ることが必要。ファンのコミュニティに対して直販する。あとはテーマセントリックにやること。学術書やサブカルチャーの場合はニッチなテーマでもいけるのではないか。津田さんなんかファンをつかんでやっているのでは。

津田:90%といかないまでも50-50の関係にならないかと思っている。対等な関係。取材や訴訟リスクなど個人では難しいことを出版者や編集がやっている。個人だとこうした検証の機能がない。このような出版の機能を機能化して提供できるようにならないか。著者に対するエージェント、パブリッシングマネージメントのようなこと。

金:90%でもなんでも市場原理で決まるのであれば、どうでもよい。現状出版者が9割取るだけの価値がないというのなら出版者なしでやって成功事例ができれば、フォロワーが出てくる。議論だけしてもしょうがないのではないか。

フロアからの質問については、あまり興味がなかったので割愛。

●で、こうして追ってくると、最初の長尾館長の話はどこいったと。

●全体を通しての感想
●図書館と著者・出版者の間は遠い。本や出版、デジタルの未来を語ろうという時に、長尾モデルの提案は枕にしかなっていない(と感じた。議論の叩き台にもなれていないように思う)。
●デジタルな世界の「本」の未来について、図書館が関わりたいと思うならば、岡本さんの言ではないが、産業構造、政策課題、情報技術がわかる図書館員でなければ同じフィールドで議論できないだろう。とりわけ政策課題を意識できている図書館員は少ない(と思う)。
●ということで、図書館側は、こうした事態の進展に関してどうするのか。つーかどうしたらいいのか。放っておくと取り残されるだけではないか。といってまとまって対応できるわけでもなし。
●全体司会の方。ちょっと噛み過ぎでは(笑)

まあ、最後のは蛇足として、いろいろと考えることはありますよ。その意味で図書館業界内でのこの件に関する議論が足りない気がするな。それとも土屋先生みたいな意見がファイナルアンサーで、長尾館長が一人騒いでいるだけということなのか。
うーむ、まだよくわからん。
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SPARCセミナーに行ってきた2

予想通りmin2fly氏が詳細な報告を上げているので、そっちを見て、ですませたい気もしてきている今日この頃。

前回書いたもののうち、自分の興味のあるところだけ追加でコメントを加えたうえで続きを。

・変化に対応できたものが生き残る
 >それはその通りなのだけど、対応の仕方を間違えても生き残れない。
ただ新しいことをやればよいというものではないはずなので、よく考えなければいけない。

・OAオプションの動向
 前回書いたハーナッドの話はDRFのサイトに日本語版がある↓の論考

Harnad, Steaven 「機関リポジトリに関するロマリーとアームブラスターを超えて」
Harnad, Steaven (July, 2009) Beyond Romary & Armbruster on Institutional Repositories
 DRF 海外文献(和訳)

個人的にはハーナッドの見解の方が説得力がある気がする。でも義務化では本質的に解決されない気もするなあ。

さて続き

大学出版の将来
・厳しい。生き残っていくためには大学からその存在理由を付託されることが必要
・リソースの配分を求めていくことも必要
・大学出版は学術コミュニケーションのコアである。著者、読者、レフェリーなどが関わっており、出版することが資金の獲得や昇進、評価、普及の核となるから。

<質疑>
永井さん:OUPがCUPよりも強いのはなぜか
⇒規模が大きく、広範に取り扱っている。他の大学出版と大きく違うのは学術書以外もやっているところである。

続いて2コマ目
◆How Operations support OUP's business (Pam Sutherland)

学術出版が直面する危機
 ・特に欧米での経済危機
   予算の削減
   基金の運用利回りの低下→特に私立で影響が大きい
  ARLの調査では69%が2009,2010年の予算カットを予想。うち半数が5~10%カットを見込む
 ・学術出版はGlobalな市場。為替レートの変動も大きなリスク

 →有力なところだけが、図書館の購読リストに残るだろう

 ・90年代からオンライン化が進むが、オンライン化には先行投資が必要だった。例えばOUPではプリント版を購入しているところにはオンライン版を無償で提供したりした。

 →オンライン化が進んでくると、次はオンラインでないとできないことに投資が必要となる。PPVへの対応、プリントよりも先行して公開、E-mail Alert、RSS、研究データ等の提供、検索、ブラウジング、アグリゲータとのリンク、DOIへの対応、XML対応などなど

 ・オンラインになったことで、コンテンツとユーザのインタラクションが可能になった
 →出版・コミュニケーションのプロセスが変わっていくだろう。

Maps of Science
 ロスアラモス研 2006~2008の1万誌のジャーナルの利用ログからオンラインで検索した時の軌跡を示したもの
 →研究者のオンライン上のビヘイビアとイノベーションの関係をモデル化した研究
 →これによってDiscoveryのモデルを調査可能になった

新しいプレーヤーの参入
 学術出版は機能不全に陥っている。=研究は増えているのにそれを購読する予算は減小。価格が高く、需要の弾力性がない。
  →OAの出現、著者負担というラディカルなビジネスモデルの登場。
  →負担が図書館から研究予算に
 もっと大きな(学術出版にとっての)脅威は機関ベース、サブジェクトベースのリポジトリ
 =コンテンツが無償で手に入る
 →これで大学出版の使命のうち、研究成果の普及ということはできるが出版コストの問題が解決されない。最新、きれいでなくてもよいという人には商業出版の代替物になりうる。

⇒大学出版としては、質の高いコンテンツの普及と採算の両立にどうこたえていくか

課題
 ・規模が確保されていない。(最大の)OUPですら商業出版に比べると小さい
 図書館予算の70%がビッグディールに使われている
 =定期購読に使われている予算のかなりの部分を取られてしまっている。
 ・新しい技術、スキルへの投資、高度化にかかる費用が負担しきれない。
 ・大学出版では規模の経済が働いていない
 従ってコスト削減には限界がある。コストがもっと下げられるのであれば、プライスを下げることもフリーでより多く提供することもできるのだが。

 ・出版局としての経済的自立が厳しく求められている。
 ・新しいものに対応しなければいけないという考え方自体が、保守的、コンセンサス重視の組織では理解されない。

OUPの組織
 世界に10強のオフィス。それぞれのオフィスが出版者として独立。UKがIT、ファイナンス、法務をサポート

JournalsのOperation業務
 大きく3つ
 ・カスタマーサービス:注文やアフターセールス
 ・製作:OKの出た記事を印刷しオンラインに載せる
 ・IT:ジャーナルのバックオフィスのシステム、コンテンツのプラットフォーム
 ⇒コストパフォーマンス、カスタマーフォーカス、品質の3点に注力
  カスタマーが中心、CSがないと将来の繁栄はない

課題に対してOperationはどう対応するか
 ・コストを15%削減
  サプライヤーとの関係を合理化(印刷、植字工との関係)。数を減らし、個々の業者の拡大を可能に。
  ワークフローの標準化→安くなる、コストが下がらなくてもスピードが上がる。自動化や標準化をサプライヤーとのパートナーシップで推進
  スピードアップは著者を引き付ける。
  自動化によってヒューマンエラーがなくなる
  2年に1度の競争入札

 ・ISO9001の認証を取得
 →ドキュメント化と監査の実施、フィードバック、改善活動
 ・何を(OUPの中で)内製するか
 →出版サイクルに付加価値をつける部分
  それ以外はパートナーにアウトソースする。その方が専門で割安。
  =戦略的アウトソース
   これにはパートナーシップというアプローチが必要
   効率的なサプライヤーマネジメントシステム。期待されるサービスレベル、品質は何かを明確に提示。

 ・効果的なオペレーションはイノベーションを支援するものでなければいけない
 大規模なコンソーシアムとPPV双方への対応
 =ビジネスモデルの複雑化に対応したオペレーションが必要
 
 小さな実験を繰り返すことで、失敗がすぐわかり損も少ない
 標準への対応が重要
 →比較的安価でディスカバリ、アクセスを可能にし、品質向上、レポート

 ・OUPのサイトは自前とHighwireのプラットフォームのホスティングの組み合わせ
 200タイトルのうち71がHighwireで提供
 Highwireと組んでいるということが、単独ではできない規模とリーチを得るという点でOUPにとっては戦略的に重要
 →選択的アウトソースという戦略。エビデンスベースの便益を得られ、経験を共有できる

 ・Highwire2.0に移行中

<質疑>
日文研の方(名前を失念):
 非営利出版という話だったが結局利益を上げないといけないのか
→ある意味ではそう。投資することで変化する需要にこたえていかないとけない
 財源は出版によるか親機関の出資によるかしかない。
 親機関が出してもよいというか、出版で利益を上げるか
 会計上利益をどう考えるか、コストをカバーし余剰が出た場合に親機関に返すというところが商業出版と違う

筑波大・佐藤:
 OA:前半で示されたOAオプションの調査について
  リポジトリの影響があるか
→わからない。
 どのOAモデルを使うか、必須かオプションか。必須は5タイトルあるがこれは増えていない。

永井:
 オープンアクセスの意味を考え直さないといけない。
 どういうモデルを選ぶか。
 RCUKがOAについてアプロプリエイトなリポジトリにデポジットしろということを出しているが。
→PubmedCentralが一番人気。OUPでは著者に変わってデポジットしている。
 NIHがfundingしているものだけでなく、それ以外もある。

林:OAの被引用について議論になっているが、OUPのジャーナルではどうか
→いろんな研究がある、被引用との相関はわかっていない。
 普及度は上がりダウンロード数は上がっている。

林:モノグラフの発行部数が2500→500に減っていることについてその理由
→図書館の予算が減っている
 
林:e-モノグラフにしていくことはあるか。
→既にほとんどのものがなっている。電子化するのに早すぎることはない。

永井:NLM/DTDは国際標準になるか
→国際標準として通用すると考えたので採用した。他にそれに匹敵するものはない。

NII 安達:
 自前とhighwireと2つを使っていることの理由と経緯
 Highwireに査読システムがあるのか。それが良いのか
 Highwireが合理的という選択なのか
→人文社会はOUPだったが2004年にすべてHighwireに移行した。
 得意な部分をHighwireとOUPで切り分けている
 Highwireはコンテンツプラットホームとして優れているが、一部マッチしていない部分があるためそこはOUPがやるかサードパーティを使う必要がある。
 サードパーティの例がeditorial submissionシステム。ベンチプレスとマニュスクリプトセントラルを使っている部分がある。RFPと見積もりで選定。ベンチプレスはちょっと割高。コモディティ化が進んでいるところではあるが、エディタの好みと専門分野の理由がある。

安達:イギリスにおいて研究者が新しいジャーナルを出したいとしたらどうするのか。大学出版はそこで活動するのか。
→過去にたくさん出しており、経験がある。
 なぜ必要か、その分野の将来展望はどうか、品質の高い研究が行われているか、他に出版するアウトレットがないのか、ビジネスとして成功するか、市場として需要があるか、図書館が買うかなどいろいろ検討したうえで決定する。

安達:パフォーマンスが悪かった場合は?
→そうならないように手を打っていく。



Operationの話ということだったが、きわめて戦略的に運営されているという印象。Operationそのものより、そうした経営戦略面が印象に残った。戦略的にアウトソーシングしていくというところが、もっとも学ぶべき点かも。何を自前でやり、何を外に出すのか。自分たちが何をコアにしてやっていき、どこにリソースを投資するのか。
そう考えるとうちの組織には絶望せざるを得ない。

SPARCセミナーに行ってきた

ということで。

----------------------
第2回 SPARC Japan セミナー2009
「非営利出版のサステイナビリティとは-OUPに学ぶ」

日時・場所
平成21年8月4日(火)13:30~17:00
国立情報学研究所 12階 1208,1210会議室
----------------------

例によって詳細な報告はmin2fly氏に期待。
tsudaろうかとも思ったが、通訳を聞きつつ英語も聞いてやろうと思っていたので、
あきらめました。(英語もあきらめました(笑))

・グラスゴーから林さん@日本化学会がWebで参加
 そのため、司会が永井さん@日本動物学会、UniBio Press に変更

 >いつものメンバーというなかれ。この方たちが日本の学術出版の先頭を引っ張っている。

◆The Evolution of Academic Publishing at Oxford University Press (Martin Richardson)
OUP:大学でもっとも大きい部署。世界で4500人。いまや売り上げの80%以上がUK外から。
    17世紀と同じやり方で運営している
 >ほんとだろうか。
   
  年間モノグラフ1300冊、ジャーナル235タイトルその他もろもろ数百冊を出版
   ※アメリカの大学出版は100~200タイトル。大学出版の世界ではOUPは別格
     市場の半分以上をOUPが占める
 >OUPは大学出版会の「ゴリラ」だそうです。

OUPは大学からの補助を受けておらず、逆に余剰金(非営利出版ですから)を
大学に入れているが、通常の大学出版は大学本体から、キャッシュのみならず
経理や法務など有形無形のサービスを受けている。

→そんな中で昨今の経済事情からくる問題が大学出版にとって大きな課題となっている
 ・学術出版にとって主要な図書館の予算減→購読中止などの売り上げ低下
 ・大学当局からも経済的な自立に向けたプレッシャー
また、学術出版のあり方自体が、パラダイムシフトを迎えている。
 ・研究者のオンラインへのシフト→しかし、小さな大学出版はオンライン環境への投資が十分できる状況にない。
 
→どういった出版社が生き残るのか。
 ・ダーウィンではないがそうした変化に対応できるところ。author、reader、editor等々のニーズに対応していくこと。

2008年にアメリカでオンライン調査を行った。
・2365人が回答
・よく使うリサーチリソースは何か
 オンラインジャーナルとプリントブックス。研究者の分野によって大きな違いはない

>これが以外。理工系でもプリントブックスを重視しているということもあるし、人文系でもオンラインジャーナルが重視されている。日本とは違うかも。

・本や雑誌論文を見つけるのに使う方法
 PtoPでのリコメンデーションを重視。理工系では会議等も重要

>といっていたが、資料をみるとやはり引用が一番。

・年齢による差はほとんどない
 Blogを読むかという問い。またebooksの利用についても年代による差はほとんどない。
 これも日本とは違うかも。

OUPでは1994年に最初のオンラインジャーナル→現在ではすべてのジャーナルがオンライン化
2004年にはバックナンバーのアーカイブ化
STMではプリント版に載っていないデータ等も利用可に。そのほかe-mailアラート、RSS、blog、wikiなども活用
2000年には、OEDのオンラインも立ち上げ。

235タイトルのジャーナルのうち95タイトルがオープンアクセスに対応
うち5タイトルが完全OA化。
90タイトルはオプション

>ここで面白いデータ
2007年から2009年第一四半期間でのデータで
・OA論文の数は少しずつ増えている。
・一方、オプションを選択したOA論文の割合は、少しずつ減っている。
>OAの義務化が増えてきているので、OA論文自体の数は増えているが、
 オプションを選択してOAを選ぶ研究者は少ないということのようだ。
 この辺、情報管理に載ってた林さんの論考ともかぶるところか。
林 和弘. “日本のオープンアクセス出版活動の動向解析”. 情報管理. Vol. 52, No. 4, (2009), 198-206 .

あと確かこないだDRFで流れていた
ハーナッドの翻訳も関連してたような。

すみません。PCの電源がなくなってきたので、
続きはまた。

読み返すと全然まとめになっていないので、
あるいは、これも大幅に書き直してまとめ直すかもしれません。


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