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SPARCセミナーに行ってきた2

予想通りmin2fly氏が詳細な報告を上げているので、そっちを見て、ですませたい気もしてきている今日この頃。

前回書いたもののうち、自分の興味のあるところだけ追加でコメントを加えたうえで続きを。

・変化に対応できたものが生き残る
 >それはその通りなのだけど、対応の仕方を間違えても生き残れない。
ただ新しいことをやればよいというものではないはずなので、よく考えなければいけない。

・OAオプションの動向
 前回書いたハーナッドの話はDRFのサイトに日本語版がある↓の論考

Harnad, Steaven 「機関リポジトリに関するロマリーとアームブラスターを超えて」
Harnad, Steaven (July, 2009) Beyond Romary & Armbruster on Institutional Repositories
 DRF 海外文献(和訳)

個人的にはハーナッドの見解の方が説得力がある気がする。でも義務化では本質的に解決されない気もするなあ。

さて続き

大学出版の将来
・厳しい。生き残っていくためには大学からその存在理由を付託されることが必要
・リソースの配分を求めていくことも必要
・大学出版は学術コミュニケーションのコアである。著者、読者、レフェリーなどが関わっており、出版することが資金の獲得や昇進、評価、普及の核となるから。

<質疑>
永井さん:OUPがCUPよりも強いのはなぜか
⇒規模が大きく、広範に取り扱っている。他の大学出版と大きく違うのは学術書以外もやっているところである。

続いて2コマ目
◆How Operations support OUP's business (Pam Sutherland)

学術出版が直面する危機
 ・特に欧米での経済危機
   予算の削減
   基金の運用利回りの低下→特に私立で影響が大きい
  ARLの調査では69%が2009,2010年の予算カットを予想。うち半数が5~10%カットを見込む
 ・学術出版はGlobalな市場。為替レートの変動も大きなリスク

 →有力なところだけが、図書館の購読リストに残るだろう

 ・90年代からオンライン化が進むが、オンライン化には先行投資が必要だった。例えばOUPではプリント版を購入しているところにはオンライン版を無償で提供したりした。

 →オンライン化が進んでくると、次はオンラインでないとできないことに投資が必要となる。PPVへの対応、プリントよりも先行して公開、E-mail Alert、RSS、研究データ等の提供、検索、ブラウジング、アグリゲータとのリンク、DOIへの対応、XML対応などなど

 ・オンラインになったことで、コンテンツとユーザのインタラクションが可能になった
 →出版・コミュニケーションのプロセスが変わっていくだろう。

Maps of Science
 ロスアラモス研 2006~2008の1万誌のジャーナルの利用ログからオンラインで検索した時の軌跡を示したもの
 →研究者のオンライン上のビヘイビアとイノベーションの関係をモデル化した研究
 →これによってDiscoveryのモデルを調査可能になった

新しいプレーヤーの参入
 学術出版は機能不全に陥っている。=研究は増えているのにそれを購読する予算は減小。価格が高く、需要の弾力性がない。
  →OAの出現、著者負担というラディカルなビジネスモデルの登場。
  →負担が図書館から研究予算に
 もっと大きな(学術出版にとっての)脅威は機関ベース、サブジェクトベースのリポジトリ
 =コンテンツが無償で手に入る
 →これで大学出版の使命のうち、研究成果の普及ということはできるが出版コストの問題が解決されない。最新、きれいでなくてもよいという人には商業出版の代替物になりうる。

⇒大学出版としては、質の高いコンテンツの普及と採算の両立にどうこたえていくか

課題
 ・規模が確保されていない。(最大の)OUPですら商業出版に比べると小さい
 図書館予算の70%がビッグディールに使われている
 =定期購読に使われている予算のかなりの部分を取られてしまっている。
 ・新しい技術、スキルへの投資、高度化にかかる費用が負担しきれない。
 ・大学出版では規模の経済が働いていない
 従ってコスト削減には限界がある。コストがもっと下げられるのであれば、プライスを下げることもフリーでより多く提供することもできるのだが。

 ・出版局としての経済的自立が厳しく求められている。
 ・新しいものに対応しなければいけないという考え方自体が、保守的、コンセンサス重視の組織では理解されない。

OUPの組織
 世界に10強のオフィス。それぞれのオフィスが出版者として独立。UKがIT、ファイナンス、法務をサポート

JournalsのOperation業務
 大きく3つ
 ・カスタマーサービス:注文やアフターセールス
 ・製作:OKの出た記事を印刷しオンラインに載せる
 ・IT:ジャーナルのバックオフィスのシステム、コンテンツのプラットフォーム
 ⇒コストパフォーマンス、カスタマーフォーカス、品質の3点に注力
  カスタマーが中心、CSがないと将来の繁栄はない

課題に対してOperationはどう対応するか
 ・コストを15%削減
  サプライヤーとの関係を合理化(印刷、植字工との関係)。数を減らし、個々の業者の拡大を可能に。
  ワークフローの標準化→安くなる、コストが下がらなくてもスピードが上がる。自動化や標準化をサプライヤーとのパートナーシップで推進
  スピードアップは著者を引き付ける。
  自動化によってヒューマンエラーがなくなる
  2年に1度の競争入札

 ・ISO9001の認証を取得
 →ドキュメント化と監査の実施、フィードバック、改善活動
 ・何を(OUPの中で)内製するか
 →出版サイクルに付加価値をつける部分
  それ以外はパートナーにアウトソースする。その方が専門で割安。
  =戦略的アウトソース
   これにはパートナーシップというアプローチが必要
   効率的なサプライヤーマネジメントシステム。期待されるサービスレベル、品質は何かを明確に提示。

 ・効果的なオペレーションはイノベーションを支援するものでなければいけない
 大規模なコンソーシアムとPPV双方への対応
 =ビジネスモデルの複雑化に対応したオペレーションが必要
 
 小さな実験を繰り返すことで、失敗がすぐわかり損も少ない
 標準への対応が重要
 →比較的安価でディスカバリ、アクセスを可能にし、品質向上、レポート

 ・OUPのサイトは自前とHighwireのプラットフォームのホスティングの組み合わせ
 200タイトルのうち71がHighwireで提供
 Highwireと組んでいるということが、単独ではできない規模とリーチを得るという点でOUPにとっては戦略的に重要
 →選択的アウトソースという戦略。エビデンスベースの便益を得られ、経験を共有できる

 ・Highwire2.0に移行中

<質疑>
日文研の方(名前を失念):
 非営利出版という話だったが結局利益を上げないといけないのか
→ある意味ではそう。投資することで変化する需要にこたえていかないとけない
 財源は出版によるか親機関の出資によるかしかない。
 親機関が出してもよいというか、出版で利益を上げるか
 会計上利益をどう考えるか、コストをカバーし余剰が出た場合に親機関に返すというところが商業出版と違う

筑波大・佐藤:
 OA:前半で示されたOAオプションの調査について
  リポジトリの影響があるか
→わからない。
 どのOAモデルを使うか、必須かオプションか。必須は5タイトルあるがこれは増えていない。

永井:
 オープンアクセスの意味を考え直さないといけない。
 どういうモデルを選ぶか。
 RCUKがOAについてアプロプリエイトなリポジトリにデポジットしろということを出しているが。
→PubmedCentralが一番人気。OUPでは著者に変わってデポジットしている。
 NIHがfundingしているものだけでなく、それ以外もある。

林:OAの被引用について議論になっているが、OUPのジャーナルではどうか
→いろんな研究がある、被引用との相関はわかっていない。
 普及度は上がりダウンロード数は上がっている。

林:モノグラフの発行部数が2500→500に減っていることについてその理由
→図書館の予算が減っている
 
林:e-モノグラフにしていくことはあるか。
→既にほとんどのものがなっている。電子化するのに早すぎることはない。

永井:NLM/DTDは国際標準になるか
→国際標準として通用すると考えたので採用した。他にそれに匹敵するものはない。

NII 安達:
 自前とhighwireと2つを使っていることの理由と経緯
 Highwireに査読システムがあるのか。それが良いのか
 Highwireが合理的という選択なのか
→人文社会はOUPだったが2004年にすべてHighwireに移行した。
 得意な部分をHighwireとOUPで切り分けている
 Highwireはコンテンツプラットホームとして優れているが、一部マッチしていない部分があるためそこはOUPがやるかサードパーティを使う必要がある。
 サードパーティの例がeditorial submissionシステム。ベンチプレスとマニュスクリプトセントラルを使っている部分がある。RFPと見積もりで選定。ベンチプレスはちょっと割高。コモディティ化が進んでいるところではあるが、エディタの好みと専門分野の理由がある。

安達:イギリスにおいて研究者が新しいジャーナルを出したいとしたらどうするのか。大学出版はそこで活動するのか。
→過去にたくさん出しており、経験がある。
 なぜ必要か、その分野の将来展望はどうか、品質の高い研究が行われているか、他に出版するアウトレットがないのか、ビジネスとして成功するか、市場として需要があるか、図書館が買うかなどいろいろ検討したうえで決定する。

安達:パフォーマンスが悪かった場合は?
→そうならないように手を打っていく。



Operationの話ということだったが、きわめて戦略的に運営されているという印象。Operationそのものより、そうした経営戦略面が印象に残った。戦略的にアウトソーシングしていくというところが、もっとも学ぶべき点かも。何を自前でやり、何を外に出すのか。自分たちが何をコアにしてやっていき、どこにリソースを投資するのか。
そう考えるとうちの組織には絶望せざるを得ない。

どうなってるんだか

タイムリーなので、とりあえず一言。

2009年8月6日付け日本経済新聞の記事
 ・ネットでは
  http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090806AT1C0500805082009.html
  だが、実際の新聞記事より簡略化されているし、時間がたつと消えるかもしれない。
  可能なら新聞原紙を見ることをおすすめ。

これに対するNDLの反応
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2009/1187666_1393.html

ニュースソースがどこかはよくわからない。
確かに間違った記事なのだろうけど
その一端がNDL自身にもあることは間違いないだろう。
だってこの記事にあるような趣旨の発言を公に繰り返してる人がいるじゃない。
火のないところに煙は立たないわけで。

どうにも違和感があるのが

(1)当館は、デジタル化した資料及び将来電子的に納本される書籍等を、著作権者及び出版社の利益に配慮しつつ、国内のどこからでもアクセスできるような仕組みを模索しております。その仕組みの要点は、公共的な団体に当館のデジタル資料を無償で提供し、当該団体が公衆に有料で配信して、その料金のうちから権利者等に還元するというものです。
(2)今年に入り、日本文芸家協会(著作権者の団体)、日本書籍出版協会(出版社の団体)及び弁護士有志と、このような仕組みの実現の方法について話し合い、研究会を設けることを検討しています。当館は、その研究に対して積極的な協力を申し出ております。


最後の積極的な協力を云々。(1)の記載からいえば、当然仕組みを模索しているのはNDLで、であれば(2)にある「研究」とやらについて、中核にならなければ無責任というものであろう。
誰がこの仕組みを責任持って考えるのか、ということ。
「協力」で済む話じゃないでしょう。

そもそも文藝家協会のいつもの人は「ゼッタイ反対」だって言ってるじゃない。
http://www.pjnews.net/news/260/20090731_15

どうするつもりなのか。今後の展開に一応注目。



SPARCセミナーに行ってきた

ということで。

----------------------
第2回 SPARC Japan セミナー2009
「非営利出版のサステイナビリティとは-OUPに学ぶ」

日時・場所
平成21年8月4日(火)13:30~17:00
国立情報学研究所 12階 1208,1210会議室
----------------------

例によって詳細な報告はmin2fly氏に期待。
tsudaろうかとも思ったが、通訳を聞きつつ英語も聞いてやろうと思っていたので、
あきらめました。(英語もあきらめました(笑))

・グラスゴーから林さん@日本化学会がWebで参加
 そのため、司会が永井さん@日本動物学会、UniBio Press に変更

 >いつものメンバーというなかれ。この方たちが日本の学術出版の先頭を引っ張っている。

◆The Evolution of Academic Publishing at Oxford University Press (Martin Richardson)
OUP:大学でもっとも大きい部署。世界で4500人。いまや売り上げの80%以上がUK外から。
    17世紀と同じやり方で運営している
 >ほんとだろうか。
   
  年間モノグラフ1300冊、ジャーナル235タイトルその他もろもろ数百冊を出版
   ※アメリカの大学出版は100~200タイトル。大学出版の世界ではOUPは別格
     市場の半分以上をOUPが占める
 >OUPは大学出版会の「ゴリラ」だそうです。

OUPは大学からの補助を受けておらず、逆に余剰金(非営利出版ですから)を
大学に入れているが、通常の大学出版は大学本体から、キャッシュのみならず
経理や法務など有形無形のサービスを受けている。

→そんな中で昨今の経済事情からくる問題が大学出版にとって大きな課題となっている
 ・学術出版にとって主要な図書館の予算減→購読中止などの売り上げ低下
 ・大学当局からも経済的な自立に向けたプレッシャー
また、学術出版のあり方自体が、パラダイムシフトを迎えている。
 ・研究者のオンラインへのシフト→しかし、小さな大学出版はオンライン環境への投資が十分できる状況にない。
 
→どういった出版社が生き残るのか。
 ・ダーウィンではないがそうした変化に対応できるところ。author、reader、editor等々のニーズに対応していくこと。

2008年にアメリカでオンライン調査を行った。
・2365人が回答
・よく使うリサーチリソースは何か
 オンラインジャーナルとプリントブックス。研究者の分野によって大きな違いはない

>これが以外。理工系でもプリントブックスを重視しているということもあるし、人文系でもオンラインジャーナルが重視されている。日本とは違うかも。

・本や雑誌論文を見つけるのに使う方法
 PtoPでのリコメンデーションを重視。理工系では会議等も重要

>といっていたが、資料をみるとやはり引用が一番。

・年齢による差はほとんどない
 Blogを読むかという問い。またebooksの利用についても年代による差はほとんどない。
 これも日本とは違うかも。

OUPでは1994年に最初のオンラインジャーナル→現在ではすべてのジャーナルがオンライン化
2004年にはバックナンバーのアーカイブ化
STMではプリント版に載っていないデータ等も利用可に。そのほかe-mailアラート、RSS、blog、wikiなども活用
2000年には、OEDのオンラインも立ち上げ。

235タイトルのジャーナルのうち95タイトルがオープンアクセスに対応
うち5タイトルが完全OA化。
90タイトルはオプション

>ここで面白いデータ
2007年から2009年第一四半期間でのデータで
・OA論文の数は少しずつ増えている。
・一方、オプションを選択したOA論文の割合は、少しずつ減っている。
>OAの義務化が増えてきているので、OA論文自体の数は増えているが、
 オプションを選択してOAを選ぶ研究者は少ないということのようだ。
 この辺、情報管理に載ってた林さんの論考ともかぶるところか。
林 和弘. “日本のオープンアクセス出版活動の動向解析”. 情報管理. Vol. 52, No. 4, (2009), 198-206 .

あと確かこないだDRFで流れていた
ハーナッドの翻訳も関連してたような。

すみません。PCの電源がなくなってきたので、
続きはまた。

読み返すと全然まとめになっていないので、
あるいは、これも大幅に書き直してまとめ直すかもしれません。


ぬお!

気がついたら1ヶ月以上たっておった。

某E氏をはるかにしのぐ、ぐうたらっぷり
http://egamiday3.seesaa.net/article/123952116.html

どれだけぐうたらかというと、↑のような説明もいらない。
3語で十分。

○ ぐうたらの日 inspired by egamiday3

食う、寝る、ドラクエ。

以上。

・・・・・・これではいかんということで(笑)
今日行ったセミナーの内容をあとでupします。

Summon というもの

Dartmouth College Libraryが"Summon"のbeta testバージョンを公開した。
http://www.dartmouth.edu/~library/home/find/summon/


SummonというのはSerials Solutionsが絶賛開発中の
いわゆる次世代OPAC

ざっとみた特徴として
・ファセットがチェックボックス
 これはいいのか悪いのか。個人的には
 若干使いずらい気がする。
 複数の選択がやりやすいということか。

・同じくチェックボックスで、フルテキストがあるもの限定や
 図書館外のリソースもあわせて表示、という選択ができる。
 後者はどこから取ってきているのかよくわからない。

・ジャーナルアーティクルが多数。
 これもどこから取ってきているのかわからない。
 fulltextマークが目立っていてわかりやすい。

・ピアレビューを含む学術文献に限定というのもあった。
 どこで(書誌データのどこで)それを判定しているのか。

・フルテキストがあるものは直にフルテキへ
 ないものはリゾルバへ
 図書は、ILSのOPAC(の詳細表示)へリンクが張られている。
 つまりSummonだけだと詳細表示はない?
 →申込等には従来のILSが必要ということか。

・出版年の絞り込みをバーで指定する形式になっているのは面白い。
 見た目で、どれぐらいの件数があるか相対的にわかるようになっている。

Serials Solutionsは北米ではAquabrowserも扱っているが、
今後はどうするのだろうか。
まだAquabrowserの方が見た目は洗練されている気はするが。
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